病はどこからくるのか? 東洋医学の病因論

「病は気から」ってことを耳にしたりします。これは、「すべての病気は、”気”の変化から起こる」ってことを意味しています。

東洋医学は気って言葉をよく使いますが、とてもわかりづらくて「気って何なの?」というのが一般的な意見だと思います。

ここで表現してる”気”というのは二種類あって、その一つは病気を防いで健康に生きようとする力、生命力・抵抗力のことをいいます。東洋医学の世界では、これを「正気」と呼んでいます。

また正気が満ちあふれてる状態のことを「元気」と呼んでいます。。

もう一つの”気”は、健康を乱して病気を引き起こす有害なものをいい「邪気」と呼びます。「邪」とは、秩序や定めに合っていない不自然で正常でない状態を意味します。

病気発生の仕組みは「正気」と「邪気」の力関係で説明できる

病気発生には、次に挙げる体の状態になった場合に起こりうるといえます。

①五臓の正気が不足した時(虚証)

正気は、気(体を動かす機能)と血(体を形成する物質)の2要素から成り立っています。

①正気不足のうち”気”が不足したものを「気虚証」

②正気不足のうち”血”が不足したものを「血虚証」

③気と血の両方が不足したものを「気血両虚証」

「正気不足」は五臓で起こります。例えば、五臓の「肝」は休息もとらずに忙しく動き回ったり、寝不足だと、肝が貯蔵してる血が消耗して、「血虚」となり様々な症状(疲れ目、筋肉の肉離れ、頭痛など)を引き起こします。

五臓が正気不足を起こす要因は、その人の体質や生活習慣、心理状態により引き起されます。

詳細は前回の五臓六腑の考え方を参照してください。

 

②邪気が盛んな状態(実証)

邪気には、体の外側から襲ってくる”外邪”と、体の中から発生して内側から影響を及ぼす”内生邪”があります。

外邪について

外界の邪気の代表的なのが「風邪(ふうじゃ)」で「風邪は万病の元」とよく耳にすると思います。

これは、風が吹くと気候が変化したり、季節が変わるので体がうまく対応できず、いろいろな病気が引き起こされるから注意しなさいよ、という戒めの言葉なんです。

季節の変わり目に病気になりやすいのはこの為で、風・寒さ・熱さ・乾燥・湿気などの自然現象の変化に体が対応できないとき、これらは”邪”となり様々な症状を現します(風・寒・熱・燥・湿・暑を六気といって、1年間の季節のめぐりによって現れる気候の変化)。

体内の邪(内生邪)について

体内の邪は気・血・水・飲食物などが体内でスムーズに運ばれずに流れが停滞すると、これらが邪となり体に影響を与えます。

①痰飲(余分な水分の貯蓄)

②瘀血

③食積(未消化物の停滞) 

内生邪は、主に飲食や日常生活の過ごし方が影響してくることが多いようです。

 

外邪であれ、内生邪であれ、「正気が十分で元気」であれば、体に害を及ぼすことは少ないです。病気の発生は「正気が不足する」ことで弱った状態に”邪”が侵入することで発症します。

病気を引き起す引き金になる要素として、自然界の現象・体内発生の有害物・感情・生活習慣・既往歴などがありますが、病気になるか否かは五臓の正気の充実度合いにかかってくるということになります。

さらに人には「暑がりの人」「寒がりの人」、「肉付きのいい人」「痩せている人」と様々なタイプの人がおられます。また、東洋医学的にも分類することができて、肝の病症が現れやすい体質、肺の病症が現れやすい体質と主に4つのタイプに分けられます。自分自身の体質が何なのかを理解していれば、ある程度の対処ができ、病気を未然に防ぐことも可能です。

自分の体質が何なのかは、自身である程度理解してると思いますが、東洋医学的なタイプはわからないと思います。我々鍼灸師は、患者様のタイプをまず東洋医学的なタイプで分類することから、治療への足がかりにします。その見分け方を簡単に紹介しましょう。

東洋医学的基本体質チェック

(「やさしい鍼を打つための本/ 著:中根一」頁38 を引用)

肝が虚しやすいタイプ
  • やらなければならない課題が明確である
  • 入眠しにくい
  • 眼が疲れやすい
  • 冷えのぼせる
  • ストレスを感じやすい
  • 酸っぱい食べ物の好き嫌いが激しい
脾が虚しやすいタイプ
  • 思いついたことを行動に移せない
  • 食欲や食事量がおかしい
  • 内出血しやすい
  • 雨の日は身体が重い
  • 食後は眠い
  • 甘いものの好き嫌いが激しい
肺が虚しやすいタイプ
  • 悲観的でため息をよくつく
  • 風邪をひきやすい
  • よく痰がからむ
  • 周囲から姿勢が悪いといわれる
  • 辛い食べ物の好き嫌いが激しい
腎が虚しやすいタイプ
  • リスクが気になり、臆病になる
  • 足腰がだるい
  • 夕方になるとむくむ
  • 疲れが抜けない
  • 髪に元気や潤いがない
  • 塩辛い食べ物の好き嫌いが激しい

 

病気になるには、必ず原因があります。病を防ぐには、まず自分を知ることです。健康になるためのグッズや健康法、養生法は沢山ありますが、自分を知って自分に合った方法を選択しないと価値が薄れてしまうでしょう。

本当の養生法は、自分を知ることです。まずはそこからスタートしましょう。

 

 


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