魔界案内「大坂城・城中焼亡埋骨墳(残念塚)

1935815_987307298016843_8092177347348435932_n私は毎週日曜日は、大阪城公園で武術(太氣拳の稽古をしています。この公園は、外国人観光客や市民ランナーたちで賑わっており、大阪市内では数少ない自然を満喫できる心地のいい場所です。

そんな大阪城公園に人目を避けるかのように、木々の間に建てられた石碑を目にします。

まるでその周辺だけ歴史が止まっているかのような重々しい空気を漂わせています。そこだけが日が差し込まないため、独特の様相です。

城中焼亡埋骨墳

碑には「城中焼亡埋骨墳」と書かれていました。

 

大阪城の城中焼亡埋骨墳

 

その裏側にはなんと「薩州・長州」の文字が!

城中焼亡埋骨墳・大阪城
近づいて見てみると「慶応四年辰歳七月 薩州・長州建之」と書かれています。薩摩藩と長州藩、そして慶応四年といえば、鳥羽伏見の戦いです。

 

説明文によると…

明治維新となり、幕府側が大坂城を手放すことになります。それを拒んだ一部の幕臣たちが大坂城内に火を放ち自害しました。それを見た新政府軍の薩摩藩・長州藩が、彼らの遺骨を埋葬し、武士の鑑としたそうです。

当時、この碑は「残念さん」、「残念塚」と言われていたそうで、願いをかなえる神様として進行を集めたと伝えられています。

 

《歴史的経緯》

慶長三年)

10月14日:大政奉還

12月9日: 王政復古の大号令  25日: 薩摩藩邸焼き討ち事件

慶長四年)

1月1日: 徳川慶喜が「討薩の表」を発する  2日: 大阪湾・海戦  3日: 幕府の隊列に薩摩が砲撃

~6日: 鳥羽伏見の戦いで幕府軍敗退

6日朝: 徳川慶喜が諸兵に大坂城への撤退を命令し、城に戻った将兵に「徹底抗戦の檄」を飛ばす   夜、慶喜が大坂城を脱出(逃げた)。

7日の朝、幕府軍の総大将である慶喜がいなくなった事に気づいた将兵たちで大坂城内が大騒ぎとなる!

その時、大坂城内にいたのは、陸軍伝習隊や新撰組などの幕府直属の将兵に、会津・桑名・鳥羽・大垣などの諸藩の者たちで、未だ詳細を知らぬ鳥羽伏見の生き残りが、続々と大坂城に戻ってきている状況であった。

しかし、もはや総大将がいなくなってしまった以上、どうもこうもならないので、準備の整った順に、大坂城をあとにすることになります。

桑名藩は7日の夕方に城を出て、堺で一泊、陸路で和歌山の串本まで行き、そこから船で領国まで戻った。

老中格の大河内正質など、幕府の直臣は船で江戸を目指した。

慶喜は、幕府艦隊の中の旗艦である開陽丸に乗り、その一隻だけで江戸に向かった。開陽丸の船以外は、未だ大阪湾に停泊中だった。

慶喜と入れ違いに大坂城にやってきた榎本武揚は、そのウップンを晴らすかのように、大坂城に残っていた武器をはじめ、18万両の御用金までをも、富士丸という船に積み込んで持って行ってしまう。

新撰組の近藤勇や土方歳三も、この富士丸に乗船して江戸にもどりました。

これらの船は2~3日の間に、次々と出航していきました。

そして、ほとんどもぬけの殻となった大坂城に新政府軍がやってきたのは、慶長四年1月9日の早朝。城の明け渡しの交渉役となったのは、幕府軍目付の妻木頼矩。 新政府軍の代表を丁寧に出迎え、早速、開城の交渉に入ります。

ところが、その会議の最中、いきなり本丸から火の手が上がりました。その火は、瞬く間に本丸全体を包み、やがて火薬庫に燃え移り、大爆発と同時にあたりは炎の海となりました。

もぬけの殻と思われていた大坂城、未だに開城に納得できない多くの兵たちが残っていたのでした。

 彼らは、あの6日の朝、慶喜が発した「たとえ城が焦土と化しても戦い抜こう!」という言葉に、もののふ魂を奮い立たせ、城を枕に討死する覚悟でいた者たちでした。

しかし、もはや大量に押し寄せた新政府軍。 ほとんど将兵が去ってしまった今、抗戦する事は不可能と判断した彼らは、城に火を放ち、次々と自刃していったのです。

誰も消火にあたる者がいないうえ、冬特有の強い北風にあおられた大坂城は、一晩中燃え続け、ほとんどの建物を焼いた後、翌日の夕方やっと鎮火します

錦の御旗を掲げた仁和寺宮嘉彰親王が大坂に入ったのは、その10日の事。仁和寺宮とともに大坂城に入った新政府軍の主力・薩摩と長州の藩兵は、焼け焦げた建物の中から多くの遺体を回収し、城とともに散った彼らを武士の鑑と称賛し、その遺志を汲んで、ここ大坂城内に埋葬しました。

それが、今回紹介した「城中焼亡埋骨墳」通称、「残念塚」です。

人目を避けるように、建っているこの石碑。それも武士の精神が目立たず、でしゃばらずと訴えかけているのかもしれません。

もっと知られてもいい石碑なのに。


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