睡眠のメカニズムについて考える①

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日本の5人に一人が不眠症といわれるほど、現代人の安らかな眠りは脅かされています。

今回、『医道の日本・7月号』に掲載された内容を抜粋しながら、睡眠について考察したいと思います。この記事は金沢大学医療保健研究域医学教授・櫻井武氏のインタビュー記事を参考にしています。

 

【医学的には「睡眠」とはどのように定義されているのか?】

睡眠とは「意識がなく、外部の刺激に対する反応性が低下した状態」で「容易に回復するもの」⇒脳死、植物状態、こん睡状態とは当然違います。

ただ言葉の定義は、そうですが、人が本当に「睡眠」状態にあるかどうかは、脳波や様々な生理学的な情報を測って判断します。

このなかで最も重要でポピュラーな指標が脳波で「ノンレム睡眠」「レム睡眠」と分類されるものです。

我々は眠りに就くと、はじめにノンレム睡眠の状態に入ります。ノンレム睡眠はその深さによって、ステージ1~4まで分かれており、時間の経過とともに深いステージへと入っていきます。7-120-114

ノンレム睡眠中は脳の活動が低下しており、自律神経系は副交感神経優位となります。このとき脳波は振り幅が大きく、遅くなります。

ノンレム睡眠は60~90分ほど続き、それからレム睡眠が訪れます。レム睡眠中は、脳が活発に働いており、自律神経は変動が起きているときのように大きくなり、代謝も覚醒時と同じくらい高まっています。大脳皮質が活発に活動しているので、脳波の振り幅は小さく、周波数は速くなります。kind-sleep

【良質な睡眠とは?】

健康な人の睡眠では、浅いノンレム(ステージ1)から次第に深いノンレム(ステージ4)へ移行していき、急速に浅くなったあちにレム睡眠が訪れ、しばらくして、再度浅いノンレム睡眠に戻ります。

このサイクル(睡眠単位)を一晩に4~5回繰り返してから、目が覚めます。

 

よい眠りとは、睡眠単位が最初の図の睡眠経過図のように、特に最初の睡眠サイクルでとても深い睡眠が出て、サイクルが進むにつれてだんだん浅くなっていくのが理想でしょう。

ただ図のようになるのは若い人の睡眠で、50歳以降、加齢がすすむにつれてステージ3~4の深いノンレム睡眠は2回目にはほとんど見えなくなっていきます。

脳は通常、その人に必要な睡眠を作り出すようにつくられているので、「良質な睡眠」にこだわる必要はありません。

睡眠で大切なのは、きちんとした目覚め(覚醒)を得ること!翌日の目覚めがきちんと保たれて効率のいい作業ができる状態にあれば、その前の晩には良質な睡眠が取れたといってもよいと思います。

だから、「眠ったけど、すぐ目が覚める」とか、「7時間も寝たのになかなか起きれず、まだ眠い」や「布団に入ってもすぐに眠りに就けず、翌朝だるい」などの目覚めの悪いものが、良質の睡眠とは言い難いものといえます。p_01_01

睡眠と覚醒を司っているのは、言うまでもなく脳です。

「睡眠」:視床下部前部の視床前野が眠る命令を出す

「覚醒」:視床下部外側野が命令し脳幹に働きかける

このように同じ脳が覚醒と睡眠という異なるモードに切り替わっているわけだが、その切り替えのためには何らかのスイッチが必要。このスイッチがすばやくスムーズに行われなければ、覚醒・睡眠が入れ替わってしまう恐れもあるわけです。

この覚醒・睡眠の不調を防ぎ、覚醒状態を維持する物質(神経ペプチド)が我々の身体には存在しています。この物質が不眠にも重要なキーになりもの。

次回はこの物質のことから話を進めていこうと思います。

 

 


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