F1メカニック講座 パワーユニットを知る⑥

投稿者:

【エネルギーの流れ】
最後にパワーユニット内におけるエネルギーの流れを説明します。マシンが走る場面によってエネルギーを蓄えたり、放出してパワーを発揮したりと、流れは異なります。それでは場面ごとにエネルギーの使い方を見ていきましょう。

image
❶ブレーキング時(運動エネルギー回生)

市販ハイブリッド車がエネルギーを回生するのと同じ流れです。走行中の車両が減速時に捨てている運動エネルギーの一部をMGU-Kが電気として回収(発電)し、エネルギー貯蔵装置に蓄えます。MGU-Kの最高出力は120kW、1周あたりに蓄えられるエネルギー量は2MJと定められているため、規定上限まで回生するには、計算上、約16.7秒の減速時間が必要となります。

image

❷コーナー立ち上がり(MGU-Kによるパワーアシスト)

ダッシュ力を必要とするコーナーの立ち上がりでは、エンジンが発生する出力にMGU-Kの出力を上乗せすることで、パフォーマンスを向上させることができます。

image

❸コーナー立ち上がり(ターボラグの解消)

ターボ車の場合、減速を終えて次に加速しようとアクセルを踏んでも、排ガスの流量が増えてタービンが本来の性能を発揮するのに一定の時間を要してしまいます。この反応の遅れをターボラグと言います。そこで、MGU-Hを利用してコンプレッサーを回転させ、タービンが排気の到達を待たずに機能させることで、ターボラグの解消を行います。

image

❹全開加速時(MGU-KとMGU-Hによるパワーアシスト)

(各部の解説で説明した通り、)ターボチャージャーではコンプレッサーが回転し、圧縮した空気をエンジンへ送り込んでいます。全開加速時は、タービンに供給される排気エネルギーが増えるため、エンジンが必要な空気を圧縮するためのコンプレッサーの仕事を上回る場合があります。


返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA