王建華氏インタビュー最終章

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~ 大成拳はなぜ伝統武術と異なる体系を持つに至ったのでしょうか?~

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王)
これは王向齋という人物の資質に負うところが非常に大きいのです。
伝統武術は現代に至るまで何代もの伝承者を経ていますが、その武術が現状を維持するか、退化するか、或いは更に発展するかは伝承者の資質次第で決まります。

親から食べ物をもらう子供に例えてみれば、
「これは親が自分のために作ってくれたのだから良いものに違いない」と深く考えずに食べてしまう子供が居る一方で、
「これは何だろう?自分になぜこれが必要なのか」と考え、さらに本をめくって自分に足りない栄養素を知ろうとする子供も居ます。
王向齋はこの後者に当たる発想をしたのです。もう一歩進んで考えれば、現代の練習者にとっても、練習内容の目的を明確に理解し、どのように練習すべきかを常に思考する態度が武術の発展に対して非常に重要であると言えるのです。

~ 意念の練習を通じて「先天的な攻撃的本能を取り戻す」とは具体的にはどういうことでしょうか?~
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王)
「人間の先天的攻撃本能とは何か」は難しい問題なのですが、人類は原生林の近くで生活していた原始時代から獣と戦う闘争的精神を持っていたはずです。
言うまでもなく現代の社会生活では生命の危険は極小化し、我々の闘争本能もある程度退化しています。
だからこそ、この精神状態はイメージ(意念)でしか練習できないのです。
技撃站椿の練習で、暗い森の中で虎に出くわした時のような闘争的心理状態を想定する場合もありますが、意念のバリエーションには限りがありません。
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~ 大成拳の創始者である王向齋は大成拳を創始する以前に形意拳を学んでいましたが、武術の未経験者が最初から大成拳を練習するのは難しくはありませんか? つまり、大成拳は長拳など外形から入るものより修得が困難ではないですか?~

王)
確かに王向齋は郭雲深について形意拳を練習していました。1920年代当時まで形意拳は最先端の実戦拳法だったはずです。
しかし王向齋は中国全土を巡って多くの各種武術を研究し、失伝しつつあった要素、例えば爆発的な力を発揮する各流派の発力法なども研究、吸収し、それまでの形意拳とは異なる体系を創立させました。
多くの武術に触れる過程で、王氏は武術の本質に更に近づいたのです。確かに大成拳は外見よりも内面に対する要求が高いために難解にみられがちです。
しかし、「大成拳を学べば、より早く武術の本質を理解することができる」と言えるでしょう。


意拳も太氣拳も、一般的な武術に存在する套路(型)というものがありません。
型の練習よりも、武術の本質的なエッセンスの修得に重点を置き、闘いにおいては様々な状況に瞬時に反応して身体が効くようにしていくことで本能的に動けることを目指しています。
だから私の師匠もおっしゃってました。
太氣拳を学んでれば、太極拳の型は簡単に出来るようになると。
身体の内から沸き起こる感覚、それがなければ無意味なんだと言うことでしょうね。


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